住宅ローン減税が受けられる要件とは?(後編)
前回は、住宅ローン減税の控除額や節税効果、申請方法について解説しました。本記事では、住宅ローン減税が利用できる条件や、利用時の注意点を解説していきます。
住宅ローンを借り入れてマイホームを購入しても、要件を満たせなければ住宅ローン減税を利用できません。マイホームの購入を検討されている方は、本記事で住宅ローン減税の要件をご確認ください。
【目次】
住宅ローンを借り入れて取得する住宅の要件
住宅ローン減税の要件は、取得する住宅の種類によって異なります。ここでは新築住宅や中古住宅を取得し、住宅ローン減税を受ける場合の要件を解説します。
新築住宅
住宅を新築したり新築住宅を購入したりする場合、住宅ローン減税の適用要件は以下の通りです。
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新築等をした日から6か月以内に入居している
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住宅ローン減税を受ける年の12月31日まで居住している
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住宅の床面積が50㎡以上であり、かつ床面積の1/2以上が専ら自己の居住用
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2つ以上の住宅を所有していない
※2つ以上住宅を所有している場合、主に居住している住宅のみが住宅ローン減税の対象となる
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入居した年及びその年の前2年後3年以内にマイホームを売却した場合などの譲渡所得の課税の特例等(3,000 万円の特別控除など)を受けていない
※税務署「住宅借入金等特別控除を受けられる方へ(新築・購入用)」をもとに作成
3,000万円の特別控除とは、所定の要件を満たすマイホームを売却した場合、3,000万円までの利益(譲渡所得)に対して税金がかからない制度です。
新築住宅を取得した年から数えて一定期間内に、3,000万円の特別控除をはじめとしたマイホーム売却時の税の優遇制度を利用していると、住宅ローン減税を利用できません。
例えば、2021年に住宅を取得したとしましょう。2021年の前2年である2019年と2020年、後3年である2022年と2023年、2024年の計6年間に、3,000万円特別控除を受けていると住宅ローン減税を申請できないのです。
中古住宅
中古住宅を購入する場合、新築住宅の適用要件2〜5に加えて、以下の要件を満たすと住宅ローン減税の対象となります。
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中古住宅である(下記のいずれかを満たす住宅)
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住宅が建築された日から購入した日までの期間が20年であること
※マンションをはじめとした耐火建築物の建物は25年以内
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購入の日前の2年以内に、地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準に適合することが証明されている
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上記のいずれも満たさない住宅である場合、以下のすべてを満たすこと
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購入の日までに耐震改修を行う申請をしている
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住み始める日までに耐震改修が完了し家屋が耐震基準に適合している
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購入をした日から6か月以内に入居している
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購入時および購入後において、生計を共にする親族等から購入した住宅ではない
※税務署「住宅借入金等特別控除を受けられる方へ(新築・購入用)」をもとに作成
中古住宅の場合、築年数または耐震性能が要件を満たしていなければ、住宅ローン減税を利用できません。
親族等には「事実上の婚姻関係と同様の事情にある方」や「家屋を購入した人から受ける金銭その他の資産によって生計を維持している方」も含まれます。
住宅ローン減税の適用要件
住宅ローン減税の対象となるのは、住宅ローンを借り入れる人の所得や借入期間などが、以下の条件を満たした場合です。
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住宅ローン減税を受ける年の合計所得金額:3,000万円以下
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借入金の返済期間:10年以上
合計所得金額とは、事業所得や不動産所得、給与所得、総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得及び雑所得の合計額(損益の通算後の金額)などの合計金額です。
給与所得とは、給与収入から給与所得控除を差し引いた金額を指します。給与所得控除とは、年収のうち一定金額を必要経費であったとみなして、所得税や住民税の計算から除外してくれる制度です。給与所得控除の金額は、年収に応じて計算されます。
住宅ローン減税の対象となる借入金は、金融機関が取り扱う住宅ローンや、勤務先からの融資(例:社内融資)などが対象です。ただし勤務先からの融資については、無利子または金利0.2%未満であると、住宅ローン減税の対象外となります。
住宅ローン減税の控除期間が13年に延長される要件
住宅ローン減税の特例措置が適用されて、控除期間が10年から13年に延長されるのは、以下の期日までに所定の契約を結び、2022年の12月31日までに入居した場合です。
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注文住宅:2020年10月〜2021年9月末
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分譲住宅・既存住宅の取得:2020年12月〜2021年11月末
住宅ローン減税の特例措置の対象となるのは、消費税10%が適用される住宅を取得した場合です。
なお2021年度の税制改正により、特例措置の要件を満たしている場合、住宅の床面積の要件が「50㎡以上」から「40㎡以上」に緩和されることとなりました。
ただし取得する住宅の床面積が、40㎡以上50㎡未満である場合、合計所得金額が1,000万円以下でなければ住宅ローン減税および特例措置は適用されません。
まとめ
住宅ローン減税を適用できると、所得税や住民税の大幅な節税効果が期待できます。ただし節税効果は、取得する住宅や個人の所得などによって変わるため、必ずしも年末時点の借入残高の1%が戻ってくるとは限りません。
また住宅ローン減税の申請方法や適用要件は、非常に複雑です。住宅を購入しようと考えている方は、ファイナンシャルプランナーや税理士などに相談のうえ、住宅ローン減税を利用すると良いでしょう。
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