国民年金基金のメリットとデメリットとは?
個人事業主やフリーランスは、会社員と比較して老後に受け取れる年金が少ない傾向にあります。「老後生活でお金に困らないだろうか」と不安を抱えている個人事業主やフリーランスは多いのではないでしょうか。
そこで検討したいのが「国民年金基金」です。国民年金基金は、個人事業主やフリーランス向けの年金制度です。加入して掛金を支払うことで、老後の年金受給額を増やせます。
国民年金基金にはメリットもあればデメリットもあるため、よく理解したうえで慎重に検討することが大切です。今回は、国民年金基金について解説します。
【目次】
国民年金基金の基礎知識
国民年金基金は、個人事業主やフリーランスなどの国民年金第1号被保険者が、安心して老後生活を送ることができるように実施される制度です。加入して掛金を支払うことで、老後の年金受給額を増やせます。
会社員や公務員などは、国民年金と厚生年金の両方に加入しています。そのため、65歳になったときは受給要件を満たしていると「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の受給が可能です。
一方個人事業主やフリーランスは、国民年金にしか加入していません。厚生年金に加入していた期間がない限り、65歳から受け取れるのは基本的に老齢基礎年金のみとなります。
国民年金基金に加入すると、老齢厚生年金に相当する2階建て部分の年金を準備できます。
国民年金基金のメリット
国民年金基金の主なメリットは、以下の3点です。
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掛け金が全額所得控除の対象
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一生涯の受け取りを選択できる
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自由にプランを設計できる
掛金が全額所得控除の対象
国民年金基金の掛金は、全額が社会保険料控除の対象です。1年間で支払った国民年金基金の掛金と同額が所得から控除されるため、所得税や住民税の負担を軽減できます。
例えば、国民年金基金の掛金を年額30万円支払った場合、所得税と住民税を計算するときに所得から30万円が差し引かれます。節税メリットを受けながら老後生活に必要なお金を準備できる点が、国民年金基金の魅力です。
ただし、国民年金基金の掛金は68,000円が上限であるため、控除額は最大で年間81.6万円となります。また、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金とあわせて月額68,000円が上限である点に注意しましょう。
一生涯の受取を選択できる
国民年金基金で受け取れる年金は、一生涯にわたって受け取れる終身年金が基本となっています。65歳になると亡くなるまで年金を受け取れるため、長生きをしても途中で支給が停止される心配はありません。
「人生100年時代」ともいわれるなか、長生きをしたときのお金の不安を少しでも軽減したい方は、国民年金基金に加入すると安心でしょう。
また国民年金基金の終身年金は、5〜15年の保証期間がついたプランも選択が可能です。保証期間中に亡くなった場合は、残りの期間に応じた一時金が残された家族に支給されます。
自由にプランを設計できる
国民年金基金に加入するとき、1口目については終身年金A型かB型のいずれかを選びます。2口目以降は、終身年金A型・B型、確定年金Ⅰ〜Ⅴ型の7種類から選択が可能です。規定の範囲内であれば、加入する人の希望に応じてプランを設計できる点が魅力的です。
また国民年金基金に加入したあとも、ご自身や家族のライフスタイルの変化にあわせて掛金を自由に増やしたり減らしたりできます。
毎月の掛金の額は、加入時の年齢や性別、給付の型によって決まります。途中で口数を変更しない限り、払込の満了まで掛金額は変わりません。将来の年金額も、加入したときに確定します。
国民年金基金のデメリット
国民年金基金には、以下のデメリットがあると考えられます。
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加入したあとに任意解約できない
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インフレリスクがある
加入後に任意で解約できない
国民年金基金に一度加入すると、任意で脱退できません。途中で解約をして解約返戻金を受け取り、生活や事業の資金に充てることはできないのです。
国民年金基金の加入後に資格を失ったときは、それまで納めた掛金をもとに65歳になると年金が支給されます。
掛金の支払いが難しくなったときは、口数を減らせます。支払いを一時中断することも可能ですが、未納であった期間に応じて、将来の年金額が減ってしまう点には注意が必要です。
なお、掛金の納付を中断したときは、2年以内であれば追納できます。
インフレリスクがある
インフルリスクとは物価の価値が上昇することで、貨幣価値が下がってしまうリスクのことです。
例えば、現在は100円で買えるモノが、30年後には150円出せないと買えなくなっているとしましょう。モノの価値は1.5倍に増えていますが、お金の価値は2/3に低下しています。
国民年金基金は、加入したときに将来の年金額が確定する仕組みであるため、将来的に物価が上昇していると受け取った年金の金銭的な価値が目減りしていることがあります。
老後資金を準備するときはインフレに強いと言われている、外貨建て商品などを組み合わせるのも方法です。
まとめ
個人事業主やフリーランスが国民年金基金に加入することで、老齢厚生年金に相当する部分の年金を準備できます。受け取る年金は終身年金が基本であるため、国民年金基金は長生きしたときも生活を支えてくれる心強い存在です。
国民年金基金に加入するときは、ホームページから資料を請求し、同封されている加入申込書を提出します。また、一部の金融機関でも加入を受け付けています。ゆとりある老後生活を送りたいと考えている方は、国民年金基金の加入を検討してみてはいかがでしょうか。
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